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感性や好奇心

更新日:2020年10月29日

 皆さんは、どのようなものを見たときにビビッとアンテナが反応するでしょうか。


 科学の成果にビビッとくる人を増やす。それが科学エンタメ化計画達成に必要なことです。

 何にビビッとくるか、という感性は先天的なものか、後天的なものか、わかりません。もし先天的なものであれば、本計画の目標達成には、研究者が子供を作りやすい環境を作ること(子育て資金の援助など)が必要になるでしょう。それには、莫大な資金が必要になります。

 そのため、まずは感性が後天的なものだと仮定して科学エンタメ化計画を進めています。では、どうやったら科学の成果にビビッとくる感性を持つ人を増やすことができるのでしょうか。


 ・感性が育つには

 感性とは、何かを感じ取るのに必要なもので、主体的に興味を持ち、理解することができる性質のことでしょう。おそらく、その感性の種が育つには、幼児期に色々なものに興味を示す、拡散的好奇心が旺盛な時期に、それを満たしてあげることができるかどうか、が重要なのではないかと思います。(参考:幼児期および児童期における学習意欲の形成)

 この時期に、拡散的好奇心が自分の理解できる範囲で満たされる、という経験を重ねると、そのまま成長してもあらゆるものに対して、好奇心を持ち、理解をできる範囲が広がっていき、感性が育つのだと思います。

 逆に、拡散的好奇心を示した対象について、答えが得られなかったり、理解が難しかった場合など、その好奇心が満たされることができないと、その時期に一つ一つ、好奇心の対象が減っていき、絞られていくのではないかと思います。


 ・好奇心を満たす工夫

 では、好奇心を満たすために重要なことは何でしょうか。


 物理学の世界では、物体に加わる力と加速度の関係を表すニュートンの運動方程式や電磁気力の働きを表すマクスウェル方程式、時空と重力の関係について表すアインシュタイン方程式など、この世がとてもシンプルな微分を用いた式(微分方程式)で表現されており、そのシンプルさにビビッと来る人もいるでしょう。

 しかし、この物理学の世界の美しさを、物理に触れたことの無い人に説明しても美しさを理解することは難しいでしょう。

 物理学への理解が深まった人の感性にだけ響く美しさであり、それを感じ取ることができた自分への有能感から、物理学だけではありませんが、そういった探求者たちは、一般の人の感性には響きにくい点ばかりを発信することが多いと感じます。

 

 重要なのは、人それぞれの理解レベルにあった内容で好奇心に答えてあげることです。

 

 一つ思い出話ですが、私が小学生の頃、学校で習った新しいことが知的好奇心を満たされて面白く、4歳下の弟にそれを説明していたところ、母が急に、この問題集を解いてみて、と初めて見る問題集を出されたことがあります。その問題集は、習っていない漢字が多くて読むこともできず、問題文の意味がわからない。知らない公式も書いてあり、何で母は急にこれを解けといってきたのだろう、としばらく困惑していました。しばらくすると、母から、「これ、高校生の問題集。解けないとつまらないでしょ。まだ習っていないことをベラベラ喋って、弟が理解できないことに腹を立てて、相手の立場に立ってみなさい。」と叱られたことを覚えています。まさに、その人その人に理解できるレベルがあって、理解できないレベルの情報を与えられても好奇心は満たされず、その分野への好奇心、感性はどんどん減っていくのです。それを心配し、母は私に問題集を渡す形で、私を叱ったのでした。


 ・科学への興味を増やすために

 正確に言葉の定義を確認していないので、好奇心や感性の違いがこの記事では不明確だったかもしれません。この記事を書く上で念頭に置いているのは、

  • 幼児期に拡散的好奇心を持つ。

  • →好奇心が満たされると、その対象への理解が好奇心とともに深まっていく。

  • →理解が深まると、その分野に触れた時にビビッとくる感性を持つ。

  • →初めて触れる分野でも、既存の理解できる要素を見つけることで、部分的にビビッとくる。

  • →既存の理解できる分野が増えていくと、あらゆるものに、理解できる要素を見つけ、あらゆるものにビビッとくる感性を持つことができる。

という流れです。なので、科学への興味を持つ人を増やす方法として、二つが考えられます。


  • 拡散的好奇心を持つ幼児期に、好奇心の対象として科学が含まれるように科学に触れる機会を作り、そして科学への好奇心が満たされるようにすること。

  • 幼児期を過ぎて科学に興味を持てなかった人に、科学のあらゆる側面を見せ、人それぞれが持っている感性がビビッとくる科学の姿を見せること。


 どちらも、やはり科学絵本が今できる手段の一つかな、と思いますが、今後は少し幼児向けを増やしていきたいな、と思います。


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