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チャットからの質問への回答!〜価電子、放射性物質、ストロンチウムについて〜

はじめに

先日、当サイトのチャット機能を使って質問をしてくださった方がいらっしゃいました。

チャット機能は、リアルタイムでのレスポンスができる点で、良い機能なのですが、時間を空けてチャットに気づいた場合に、質問者様がサイトに留まっていない限り、回答差し上げることができません。

まさに今回、質問をいただいた翌日に気付いたため、回答をチャットでお返しすることができないため、本記事で回答をまとめたいと思います。


質問:

価電子、放射性物質とはなんですか?またストロンチウムは吸収されると都合が悪いのですか?


回答:

1.価電子について

それぞれの原子は中心に原子核、その周りに電子、という構造をしています。

周りにいる電子は、原子核を中心とした円上にいるのですが、その円には定員があり、電子の数が多くなると、徐々に原子核から離れた円に電子は進出していきます。


その一番外側の円周上(定員一杯になっていない円周上)にいる電子のことを「価電子」といいます。

「価電子」がいる一番外側の円周上には、その原子が何かと反応(水に溶ける等)する際に電子がよく出入りし、一番外側の円周上が定員一杯の安定な状態になろうとします。

電子はマイナスの電気を持っているので、価電子が出入りすると残された原子は、価電子がでてく場合はプラスの、電子が入ってく場合はマイナスの電気を持ったイオンになり、その帯びた電気の量が、その原子が何かと反応する時の電気的な特徴を決定づけることになります。


例えば、アルゴンという原子は、18個の電子を持っていて、

2個の電子が回る一番原子核に近い円、

8個の電子が回るその次に原子核に近い円、

8個の電子が回る一番外側の円、という形になっていて、最初から一番外側の円が定員一杯の状態であるため、安定しており、電気を帯びたイオンになりにくいです。

(こういう時、価電子の数は0と言います。)



電子が19個あるカリウムは、その増えた一個分が、アルゴンの時よりも更にひとつ大きい円の方で回ってる、という形で、何かと反応するときは、その価電子を離して、+1の電気を持ったイオンになります。



そして人間の体に重要なカルシウムは、カリウムよりひとつ電子が多く、価電子が二つで、何かと反応するときは、二つの価電子を離して、+2の電気を持ったイオンになります。

そして、ストロンチウムも、その価電子の数が2つです。

ストロンチウムは、カルシウムの一番外側の円に定員一杯に電子が入り、さらに次の円に2個の電子を持つということです。



そのためストロンチウムも、+2の電気を持ったイオンになるので、

体内でカルシウムと似たような扱いをされてしまい、カルシウムを人間が体内に蓄えるのと同様に、ストロンチウムを蓄えてしまうのです。


2.放射性物質について

原子の中心にいる原子核が不安定で、徐々にエネルギーや粒子を放射しながら安定な状態になろうとする物質が放射性物質です。

ストロンチウムの場合、全てのストロンチウムが放射性物質であるのではなく、

ストロンチウムの中でも原子核に中性子という粒子を抱え込みすぎて不安定なタイプがいて、それが放射性物質になります。

放射性物質のストロンチウムは、原子核にあるその多すぎる中性子が同じく原子核にある陽子に変化して、安定しようとします。

それをベータ崩壊と言いますが、その中性子から陽子への変化の際に、電子が周りに放射されます。その電子がこの場合、放射線です。



この他にも、中性子2個、陽子2個の塊(ヘリウム原子核)=アルファ線を放射するアルファ崩壊をする放射性物質と

強い光=ガンマ線を放射する放射性物質があります。


3.ストロンチウムを吸収すると都合が悪い理由

ベータ崩壊で出てくるようなエネルギーの高い電子=ベータ線は、人体を構成する分子を攻撃します。体の外側にベータ崩壊する放射性物質がある場合、体の内部までは電子は届かず、体の外側に近い部分を攻撃して、エネルギーを使い果たします。一方で、ベータ崩壊する放射性物質が体内に入ってしまうと、体内を直接攻撃されてしまい、危険度が高まります。これを内部被曝といいます。


ストロンチウムは、カルシウムと似ているために体内に蓄積されてしまい、内部被曝の原因となるため、ストロンチウムの吸収は都合が悪いのです。


ちなみに、アルファ線は、電子よりうんと大きいため、空中では数cm進むだけで色んなものとぶつかってエネルギーを使い果たします。そのため、体の外にあるときはそんなに危険じゃありません。一方で体内に入ってしまったときは、体内ですべてエネルギーを確実に使い切るので、とても危険です。

一方、ガンマ線は放射線の中で唯一電気を帯びてません。そのため、あまり反応せずに遠くまで進んでいくというのが特徴です。

以上、質問への回答でした。


科学エンタメ化計画では、いつでも質問を受け付け中です。

チャットで質問される場合は、リアルタイムで対応が可能であればその場で回答いたしますが、対応ができなかった場合には、お問い合わせフォームにて連絡先を記入いただければ回答いたします。

連絡先の記入が嫌な人もいらっしゃると思うので、お問い合わせフォームへの連絡がなかった場合には、今回のように記事にて回答をしたいと思います!

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